石材の用語集
石材業界で使われている用語をまとめたものです。
石材の種類
安山岩 (あんざんがん)
安山岩は、火成岩の一種であり、マグマが下層部で徐々に冷えたものが御影石で、マグマが噴出して冷えたものが安山岩である。 安山岩はあまり輸入されていない。安山岩は、白と黒の斑晶鉱物と灰色の石基からなる。含まれる斑晶鉱物の種類によって、 輝石安山岩、黒雲母角閃石安山岩に分けられる。灰色がかった赤味、緑、暗褐色などの色のものがある。
磐座 (いわくら)
神社祭祀初期のもので、自然石を神として信仰の対象とした。その信仰の対象となるものは,高山の巨石郡など。
火成岩 (かせいがん)
マグマが地表または地表近くで急激に冷やされて固まったもので、結晶が十分大きく成長していない。長石・輝石・カンラン石などは、 早い時期に結晶して鉱物特有の形を示している。
特に石英の結晶が一番最後になるためガラス状の石基といって、結晶となっていないものが多いため鉱物同士の結合力は弱く、 時として白い石基状にヒビの入ることがある。
輝岩 (きがん)
輝岩は、淡緑から暗緑色の緻密な片状岩で、輝石、角閃石の変成物からなり方解石が生成している。
擬石 (ぎせき)
御影などの種石を使い、ビシャン仕上げ風にして天然石の代用としたもの。ベンチや車止めなどのコンクリート規格品が主である。
凝灰岩 (ぎょうかいがん)
凝灰岩は火山灰で構成されるいる。第3世紀中新世に海底火山活動によってできた緑色凝灰岩にはいろいろな岩石が含まれる。 建築材料に適した軽石凝灰岩もあり、国内産で有名なのが、栃木県宇都宮市の大谷地区で採れる「大谷石」である。 大谷石は当初露天掘りで地盤上を採っていたが、やがて地下に潜り、現在は大洞窟の中で採掘している。 大谷石は採掘後、空気に触れると鉄成分が酸化して褐色に変わる。海外の火山国でも大量の凝灰岩を産出しているが、あまり輸入されていない。
珪岩 (けいがん)
チャートまたはほとんど石英のみからなる砂岩で、細粒緻密なものから粗粒のものまである。ガラスや陶磁器の材料として使われる。
玄武岩 (げんぶがん)
噴出岩の一つ。斜長石、輝石、かんらん石を主成鉱物とする。結晶する時に周囲の岩体の圧力などで柱状節理をつくる。 その著しく発達したものは六方石と呼ばれている。玄武岩の命名は兵庫県の玄武洞に由来。
五郎太石 (ごろたいし)
直径5~6寸(150~180mm)程度の加工していない玉石のこと。4寸(120mm)未満は玉砂利。7寸(210mm)以上は玉石。
転石 (ころびいし)
岩盤から離れて流水などに押し流された岩石のこと。
錆石 (さびいし)
真砂に風化しつつある花崗岩で水酸化鉄により錆色を発する石。色むらが激しく、元の花崗岩より強度は低く、吸水率は高い。 ジェットバーナー仕上げにすると赤く変色する。
蛇紋岩 (じゃもんがん)
蛇紋岩とは、カンラン岩中のカンラン石や輝石が水と反応して蛇紋岩となる。白い模様は滑石と呼ばれ柔らかくて水を吸収し膨張する性質がある。 性質は大理石に似ており、美しい模様と緑の色調から壁、床材として使われる。
石灰岩 (せっかいがん)
ライムストーンとも呼ばれ。ライムは石灰の意。サンゴや貝など生物の遺骸が堆積してできた岩石で、大理石のように結晶化が進んでいないもの。 一般的に磨いても艶は出ない。近年、内外装用に人気が高まっている。ドイツ、フランス産のベージュや明るいグレーの石が多い。 石種によっては脆弱で吸水しやすいものもあるため、石種について検討を要する。
閃緑岩 (せんりょくがん)
閃緑岩とは、長石・雲母・角閃石・輝石などで構成される中性の深成岩で、黒御影石なども閃緑岩 である。 耐久性・耐磨耗性に優れているが、艶だしが難しい。
堆積岩 (たいせきがん)
堆積岩は、砂・粘土・火山灰や動植物の残骸などが湖底や海岸に沈み、上からの圧力で固結したもので多くの不純物を含む場合がある。 水成岩とも呼ばれる。
大理石 (だいりせき)
大理石は、英語名でマーブルと呼ばれ、それは「光のなかで輝く」を意味するギリシャ語に由来している。日本語の大理石の語源は、 中国雲南省北西部の「大理」地区で採れた石の通称である。古代ギリシャ人は、大理石を使って、神殿建築を建て、多くの彫刻を残している。 主な産出国は、イタリア・ギリシャ・スペイン・ポルトガル・イラン・アメリカなどである。大理石は石灰岩が変成作用を受けて、 石材中に含有する方解石が再結晶し、粗粒の方解石結晶の集合体に変わった岩石で、変成岩の一種である。鉱物学的には「結晶質石灰岩」と呼ばれる。 大理石は石灰岩系の岩石を含めて種類が多く、硬軟の割合も多様であるが、すべて大理石と総称されている。
泥岩 (でいがん)
泥岩は、直径0.06mm以下の粘土からなり、これが圧縮・固結されると、粘板岩になる。
テラゾー (てらぞー)
大理石を細かく砕いた種石を、白セメント、顔料とともに練り、硬化させて磨いたもの。工場で作ったタイル状のものをテラゾータイルと呼び。 現場で打込んだものを現テラ(現場テラゾー)と呼ぶ。近年は現場で研磨する職人がいなくなって施工例は少ない。
粘板岩 (ねんばんがん)
粘板岩も堆積岩の一種であり、一般にスレートや玄昌石と呼ばれている。非常に薄く剥がれることや耐侯性に優れたものが多いことから、 床材や屋根材として昔から使用している。日本では宮城県三陸地方で古くから屋根材として使っている。最近は各国からの輸入を増えている。 セメント系の模造品スレートに対し、石は天然スレートという呼び方をされることもある。
斑れい岩 (はんれいがん)
斑れい岩は、カルシウムを含む長石・角閃石・カンラン石などで構成される塩基性の深成岩で、 黒色結晶質をもち磨くと美しい黒色となるが石目は硬い。
ピンコロ ・ 小舗石 (ぴんころ ・ しょうほせき)
サイコロ状に加工した石材。輔石ともいう。90×90×90mm程度の立方体にしたものを「一丁掛け」、 90×90×180mm程度の直方体を「二丁掛け」という。
変成岩 (へいせいがん)
変成岩は、火成岩や堆積岩が圧力や熱のために変質したもので、多くは層状になっている。大理石・片麻岩・蛇紋岩が代表的な変成岩である。
片麻岩 (へんまがん)
片麻岩は、花崗岩が褶曲作用により強い圧力をうけ、それぞれ低圧から高圧、低温から高温という条件で、さまざまな色・ 模様をした岩石に変化したもの。一般的に波の打った模様になったり、彩やかな色合いであったりするが吸水率が高い。見かけは花崗岩に似ている。
御影石(みかげいし)
御影石という名前はもともと、兵庫県の御影地区で採れた石の総称であった。
現在では、花崗岩や閃緑岩、ハンレイ岩などの総称である。 御影石は世界の国々から輸入され建築土木用の石材とて使用されている。 御影石は地球の深い地殻部分でマグマが冷えて結晶化した岩石であり、それが地殻の変動によって持ち上げられ地表面に露出したものである。 御影石は長石(白色不透明)、石英(灰色半透明)、黒雲母(黒色不透明)という3種類の造岩鉱物でできている。
山石 (やまいし)
山に転がっている自然石のこと。転石、沢石、河石のように磨耗していない。
流紋岩 (りゅうもんがん)
流紋岩は、組成的には花崗岩と同じであるが、ガラス状の石基が含まれており、火山の熔岩が流れて固まった形跡が石模様となって見られる。 色は白か淡褐色が多いが青・赤・黄を帯びているものもある。耐火性、耐熱性に優れ、伊豆諸島、天城の抗火石が有名である。
礫岩 (れきがん)
礫岩は、火山活動によってできた直径2mm以上の火山礫からなり、その間を粘土や砂が埋めている。
石材の特性
石錆 (いしさび)
御影石やスレートなどに多く見られる、成分中の鉄分が原因の錆。鉄気(てっき)ともいう。
石目 (いしめ)
生成に起因した、石固有の割れやすい方向。
エフロレッセンス (えふろれっせんす)
可溶性塩類を含んだ水分が石材中の毛細管中を移動し、表層部分で水分が蒸発し、塩類の結晶を析出させる。 塩類は炭酸塩が多く、硫酸塩を含むこともある。代表的な石材の変質現象。白華やハナタレともいう。
黄変 (おうへん)
接着材や裏面処理樹脂の成分が石の表面まで移行して黄色い染みを生じたもの。ニ液樹脂の分量違いや、練り混ぜ不足が原因となることが多い。
寒割 (かんわれ)
石の内部に吸収された水が凍って損壊を起こす現象。
吸水率 (きゅうすいりつ)
外部に石材を使用する場合、吸水率が重要な物性となる。変色や寒割れなどの問題と関係する。 石材の吸水率は細孔率によって大きく左右される。 細孔率とは物質に内在するミクロの空隙のことである。細孔率は、重量単位に物質に含まれる細孔の全容積の割合で、百分率で表される。
クサレ (くされ)
石材中の簡単に削り取れる程度の異質部分。
硬度 (こうど)
石の硬さとして1822年にドイツの鉱物学者フリードリッヒ・モースが提案した鉱物の硬さを表す尺度であるモースの硬度計がある。 天然の鉱物の中から10種類の鉱物を選び、硬さによって1から10番まで番号をつけたもの。モースの硬度は硬さの序列のみを表しており、 硬度3の鉱物が硬度1の3倍の硬さであるとは限らない。これに対して1939年に考案されたヌープ硬度は、比例的な尺度で硬度を示している。 大理石はモースの硬度だと3で、ヌープ硬度だと135となる。
サブフロレッセンス (さぶふろれっせんす)
可溶性塩類を含んだ水分が石材中を移動し、水分が蒸発し、石材内部で塩類の結晶化が起こること。石表面の浮きや剥離を起こす原因となる。
縞 (しま)
鉱物が一定方向に配列した状況。縞目模様
節理 (せつり)
火成岩が冷却し、収縮するときに出来た割れ目、またはその方向。柱状節理(六方石)、板状節理(鉄平石、玄昌石)、 球状節理(鞍馬石、筑波石)などがある。
層理 (そうり)
石材、特に堆積岩の堆積層を「層理」(bed)と呼ぶ。層理を有する石材には、切断方向によって①Natural bedding、②Face bedding、 ③Edge bedding、の3種類の層理と仕上げ表面の関係が考えられる。
反り (そり)
石材の表面における曲りのこと。原石が挽き板になる際の応力開放や、切削機の問題で石表面に反りが発生する。
ナデ (なで)
黒雲母など有色鉱物が流状に分布したもの。ナデ=掃。雲や帯ともいう。
ニュウ (にゅう)
大理石やライムストーンに見られる、細いひびにあとから貫入したカルシウム分が白く結晶化したもの。幅の広いものは「寒水」という。 周囲の結晶と一体化していれば強度上の欠陥にはならない。
濡れ色 (ぬれいろ)
石の裏面や目地内の水分が表面に現れたもの。雨水がほとんどの原因だが、寒冷地では裏面の結露で濡れ色が出ることもある。 施工方法で防止できる。
比重 (ひじゅう)
各石材の標準比重は、安山岩2.2~2.9、凝灰岩1.8~2.6、玄武岩2.7~3.2、砂岩2.2~2.7、花崗岩2.5~2.8、石灰岩2.5~2.7 大理石2.5~2.9 結晶片岩2.6~3.0。
ボサ(ぼさ)
石材中の有色鉱物が集まった個所。花崗岩中に生じる黒ボサ、白ボサ、安山岩中に生じる粘土質のものなどがある。
ポップアウト (ぽっぷあうと)
石材に含まれる鉱物の膨張により、表面がはじき飛ばされあばた状になる現象。硫化鉄やガラス質が原因と考えられる。 水分が鉱物の膨張を引き起こすため、乾燥状態を保つことが必要であり、それらの鉱物を含まない石種を選ぶ。
マイクロクラック (まいくろくらっく)
石材中に潜在するマイクロクラックは、自然の作用によるものや、採石や加工作業によっておこる。 岩石中のマイクロクラックは加工時に発見できないことも多い。施工後、水分の浸入や熱膨張収縮の繰返しによって、 数ヵ月後、数年後に現われることもある。
ミソ (みそ)
泥状の夾雑物で茶色で味噌のように見える。大谷石などに多く見られる。
山疵 (やまきず)
石が地中にある間、地殻変動や温度変化などの自然作用によって生じた割れ。
石材加工機械
ガングソー (がんぐそー)
何十枚も刃(ブレード)を並べた切断機。Φ1mm程度の鉄砂と石灰水の混合液を石の表面に撒き、 厚4mmの鋼製の刃(炭素棒)を押し付けて切断する方法。ブロックから一気に板材がとれる。
サンドブラスト (さんどぶらすと)
石面に圧搾空気と共に金剛砂を吹き付け、凹凸を付け仕上げるための機械。
大口径 (だいこうけい)
円盤にダイヤモンドチップを溶着したφ3~3.5mの刃物を回転して切削する方法。また、切断スピードが速く少量生産に向く。 主に役物の加工に使う。
小端磨き (こばみがき)
石の小端(小口)を研磨すること及びその専用機械。面取りを自動で研磨する専用機械もある。
ダイヤモンドソー (だいやもんどそー)
大型の鋸を往復させて切断する方法。刃物の先にはダイヤモンドチップがついている。
ビーズソー (びーずそー)
エンドレスのワイヤーに数珠状のダイヤモンドチップが取り付けられた切削機。糸ノコの要領でブロックを曲面切断できるタイプもある。
ホーミングマシン (ほーみんぐましん)
R加工など役物の削り出し用機械。コンピュータ制御や、型紙をなぞって同じ形状を作るタイプもある。
石材工具
玄能 (げんのう)
玄能とは、矢締めや石割などの作業に使う鎚である。玄能は大別すると胴の部分が竹筒の形のように同じ太さになっている竹胴玄能と、 ビルの解体や道路工事等に使用される矢締め玄能(ハリマワシ)の2種類がある。
重さは両方とも3~7kgまである。竹胴玄能は、鏡が面取りされておらず、角で石を割ることができる。
鏝 (こて)
代表的なレンガ鏝には、お多福ごて、桃ごての2種類である。両方とも1番から5番まであり、番手が増すにつれ小形になる。
コヤスケ (こやすけ)
コヤスケは石を割る時に多く用いられるが、割る石材の質、厚みによって刃口の幅を使い分ける。 刃口は、25,30,35,40,50㎜の5種類がある。
転 (ころ)
重量物を移動するために下に敷く、丸太や金属パイプ。
下げ振り (さげふり)
糸の下に錘(おもり)がついたもので、垂直腺を出すために用いる。専用の錘は円錐形で、先が尖っており、 この先端が糸の真下を示すようになっている。
曲尺矩 (さしがね)
L字型の金属製定規。指矩、指金、曲金、矩尺ともいう。表目は、長手、妻手とも1mmきざみの目盛がきざまれている。 (尺相当目盛りのものもある。)裏目は角目・丸目・返し目・逆目盛等の目盛がついている。角目は曲尺独特の目盛で 表目の√2倍(1.1412倍)にした目盛。丸目は表目を円周率(3.14)で割って得た目盛。返し目はτのような目盛。 これはその部分がその反対側の重要な目盛部分にあたることを意味し、わざわざ曲尺をかえなさくても分かるようにつけた印。 逆目盛 は加工した溝の探さや隙間などの探さを計るためのもの。
自由矩 (じゆうがね)
L字型の金属製定規。自由に角度を変えられるため、角度を写し取るときなどに使う。
修羅 (しゅら)
石材などの重量物を運ぶための木製ソリ。この下に転をひいて移動させる。
振動ドリル (しんどうどりる)
5mm位の穴を開けるには、振動ドリルをつかうが、16~25mm位の穴を明ける時には、ハンマードリルを使う。 また、コンプレッサーを使って鑿岩機を使用する場合もある。
石頭 (せっとう)
石工が一番良く使うハンマーはダルマ石頭であり、重さは0.2~2.5㎏の14種類ある。0.2~0.6㎏までは字彫り鏨や細い鑿で 建築用板石の小端欠きをする時に使い、0.8~1.3㎏までは主に石はつりやコヤスケ等に使用される。1.3~2.5kgまでのものは、 ワンボディウェッジなどの叩き込みなどに使う。石頭の柄の長さは、石頭を握って腕を曲げた時の、肘までの長さが標準とする。 石筒、截頭、石槌、接頭、切頭、石刀、切刀などとも書く。
チェーンブロック (ちぇーんぶろっく)
鎖歯車・滑車・鎖などを組み合わせて重量物を巻き上げる機械。
チップ玄能 (ちっぷげんのう)
玄能も長時間使用すると面が丸まって石が割りにくくなる。そこで玄能に超硬質合金チップを付けた、チップ玄能が開発された。 超硬玄能ともいう。
チルホール (ちるほーる)
重量物を牽引する手動式ウインチ。
艶粉 (つやこ)
石材本磨きの最終仕上げをする艶出し用の粉末。
トラ綱 (とらづな)
立っている物を支える綱の意。支(とら)を語源とし、トラ綱=支線(ステー)のこと。
「トラをとる」とは、例えば石を三又を使って移動する場合に、三又が倒れないように重量物の反対の方向からロープで引くこと。 トラ縄ともいう。
鏨 (のみ・たがね)
石鏨(いしのみ)は、石をはつる時やコブを取る時に用い、石頭(せっとう)で鏨の頭を叩いて石を剥がすように落として行く。 昔は鞴で炭素鋼の丸鋼を鍛造、整形、焼き入れして石鏨を作っていたが、近年は、タンガロイなどの超硬質合金をロウ付けしたものを使用している。
刃トンボ (はとんぼ)
刃トンボは、石鏨を石頭で叩いて荒はつりをした後、仕上げが近づいた部分を壊さないように仕上げる、微妙な作業に入った時に使われる。
刃ビシャン (はびしゃん)
ビシャンの一列分を刃型にしたもの。端部のビシャン加工に用いる。
ビシャン (びしゃん)
石材の表面を叩いて平滑に仕上げるために使われる鉄槌。40×40mm前後の面を目割りし、それぞれに超硬質合金のピラミッド型の刃が刻まれている。 5枚ビシャン(5×5=25目)、八枚ビシャン(8×8=64目)百枚ビシャン(10×10=100目)、注:十枚ビシャンとは言わない。
鞴吹子 (ふいご)
火熾こし道具。昔は鞴(ふいご)を使って、炭素鋼の丸鋼を鍛造、整形、焼き入れして石鏨を作っていたが、超硬工具の出現により、 鞴は使用しなくなった。超硬質合金は、金属を加工するバイト(切削刃物)の先に取り付けられた、硬い特殊合金で、 第二次世界大戦中に砲弾の先に取り付けるために、ドイツのクルップ製鋼所で開発されたものである。 タンタルカーバイト、チタンカーバイト、コバルト、タングステンが主な原料で、この超硬質合金を普通鋼でできた石鏨、 コヤスケなどの台金に特殊真鍮溶接し、超硬工具を作る。
ベビーサンダー (べびーさんだー)
石材用電動工具でベビーサンダーやディスクグラインダーと呼ばれているグラインダー。
水糸 (みずいと)
水平に張り、石据えの基準として張られる糸。
目地鏝 (めじごて)
目地にモルタルを詰めたり仕上げるための鏝。目地鏝は一分(3mm)、一分五厘(4.5mm)、2分(6mm)、3分(9mm)、4分(12mm)、5分(15mm)があり、それらを使って自分で作る場合もある。
モッコ (もっこ)
シートの四隅に吊紐(つりひも)をつけ、割石などを吊り上げる用具。
矢 (や)
石を割るときに使われる道具の一つ。小さいものを利矢(ききや)、豆矢(まめや)、大きいものと飛び矢(とびや)という。 近年は矢と羽根が一体になっているワンボディウェッジが開発され、石を割る時の方向を定めるのも楽になっている。
両刃 (りょうば)
小叩き仕上げに用いる工具。
ルートハンマー (るーとはんまー)
5mm位の穴を開けるには、振動ドリルをつかうが、16~25mm位の穴を明ける時には、ハンマードリルを使う。 また、コンプレッサーを使って鑿岩機を使用する場合もある。
石材材料
スラブ (すらぶ)
ブロック(原石)をガングソーなどでスライスしてできた板石。挽き板や大板ともいう。このスラブを石割り裁断し製品にする。
背板 (せいた)
原石を加工したときに発生する両端の板石。内面が切肌、外面が荒石になっている。
丁場 (ちょうば)
採石場のこと。露天掘り、坑内掘りなどの採掘形態がある。転石を原石とする丁場もある。
ブロック (ぶろっく)
採石場で掘り出された原石。
石材仕上げ
粗磨き (あらみがき)
研磨作業の最初の工程。粗磨き→水磨き→本磨き。荒磨きとも書く。
ウォータージェット ・ W&J (うぉーたーじぇっと ・ だぶるあんんどじぇい)
超高圧水で石面を削った仕上げ。ジェットバーナーと組み合わせて使うことも多い。
切肌 (きりはだ)
石材を丸ノコなどで切削したままの石面。挽き肌、挽き面、機会挽きともいう。
玄能払い (げんのうばらい)
玄能で石の角を払い落とすこと。表面の大きな凹凸だけを取り除いた仕上げ。
小叩き コタタキ (こたたき)
ビシャンで仕上げた石面を「両刃」を使って、1~2mm幅の細かい平行線を刻む仕上げ。
瘤出し コブ出し (こぶだし)
割肌の四方のふちをコヤスケまたは両刃で払い、表面の割肌面を瘤状に残す。
サンドブラスト (さんどぶらすと)
石面に圧搾空気と共に金剛砂を吹き付け、凹凸を付ける仕上げ。マスキングシート(保護シート)を利用し、 保護された部分とそうでない部分を作り出し、模様を削り出すことが可能。金剛砂の粒サイズもいくつかあり、用途に応じて使い分ける。
ジェットポリッシュ ・ J&P (じぇっとぽりっしゅ ・ じぇいあんどぴー)
ジェットバーナーで仕上げた石面を、バフで軽く研磨した仕上げ。
ジェットバーナー ・ J&B (じぇっとばーなー ・ じぇいあんどびー)
石面を1800~2000℃のガスバーナーで熱し、石材結晶の熱膨張率が違うのを利用し、表面をはじき飛ばして凹凸をつくる仕上げ。
ショットブラスト (しょっとぶらすと)
圧搾空気と共に吹き付けた材料が、鋼球の場合をショットブラスト、砂の場合をサンドブラストと言い分けていたが現在ではその境はあいまい。
突つき ・ ツツキ (つつき)
トンボを使って表面を突つき荒らした仕上げ。主にコンクリート表面化粧に用いる。
鏨切り・ノミ切り (のみぎり)
鏨で、石面を平らに近く切り、平行溝を表す仕上げかた。鏨切り仕上げには荒鏨仕上げ、中鏨仕上げ、上鏨仕上げがある。
鏨筋・ノミ筋 (のみすじ)
荒斫りを行うときの方法。のみ跡を30~40㎜の等間隔に通して筋間を斫りとる。
ビシャン (びしゃん)
ビシャン(鏨の先が細かいピラミッド状になった工具)で石表面を叩き、細かい点状の模様を付ける仕上げ。 近年は圧縮空気で動く「機械ビシャン」を使用する。
本磨き (ほんみがき)
研磨作業の最終工程。石本来の色艶がはっきりと出るまで磨いた石面。
水磨き (みずみがき)
艶が出ない程度まで研磨したもの。#400、#800の砥石を掛けた程度。研磨跡が残ることもあって、本磨きよりも難しい。 石種によってしなやかさや重厚さな雰囲気が出る。
割り肌 (わりはだ)
石を割ったままの仕上げ。
刻字法
イカク彫り(いかくぼり)
断面形状が蒲鉾型の為、蒲鉾彫りともいう。
一杯彫り (いっぱいぼり)
断面形状において、文字の筆幅と同じ寸法まで深く彫ること。「一杯に彫る」といい、深さ限界の目安。
浮かし彫り (うかしぼり)
文字や文様の周囲を彫り下げて浮き出させる刻字法。
皿彫り (さらぼり)
断面形状が丸い。筆幅の2分の1以下の深さに彫る刻字法。
篠彫り (しのぼり)
断面形状が丸い。小文字(~60mm角)で用いられた刻字法。篠竹の円い曲線を彫りに生かしつつ、 篠竹を縦割りしたときの縁の鋭さを表現しようと試みられた彫り。
透し彫り (すかしぼり)
表から裏まで彫り通した彫刻。灯籠の火袋格子等に用いられる。
梨地彫り (なしぢぼり)
字彫り面を先鏨(さきのみ)で打って梨地肌に仕上げた刻字法。100mm角以上の文字を円彫りした字彫り面に施されることが多い。
平彫り (ひらぼり)
断面形状の底部が平たい刻字法。
円彫り (まるぼり)
断面形状ガ丸い刻字法。丸彫りとも書く。
薬研彫り (やげんぼり)
断面形状がV字形をしている。漢方の薬種を細分する器具の薬研に断面形状が似ていることから付けられた名称。
小口加工
入隅 (いりずみ)
入り隅で差込がある場合。
江戸切り (えどぎり)
石面の角部加工の一つ。淀切りともいう。水平角の上か下の一方を切り欠く。縦の一方や上下ともに淀を取る場合もある。
繰型付 (くりがたつき)
出隅に繰型を付けた加工。
小段付 (こだんつき)
出隅に小段を付けた加工。
出キメズ (できめず)
小口の厚み決めが不必要な隅。
出隅(でずみ)
小口の厚み決めが必要な隅。
出隅トメ(でずみとめ)
出隅部があり、トメ加工が必要な隅。
八角入トメ (はっかくいりとめ)
112°30′の角度をなすトメ。
八角出隅(はっかくでずみ)
角度が135°の出隅。
八角出トメ (はっかくでとめ)
67°30′の角度をなすトメ。
変入トメ (へんいりとめ)
90°を超える角度で112°30′及び135°以外のトメ。
変出隅 変出 (へんでずみ へんで)
角度が90°以外の出隅。
変出トメ (へんでとめ)
90°未満の角度で45°及び67°30′以外のトメ。
本入トメ ・ 入りトメ (ほんいりとめ ・ いりとめ)
135°の角度をなすトメ。
本出トメ ・ 出トメ (ほんでとめ ・ でとめ)
出隅が無いトメ。
部材
上り框 (あがりかまち)
玄関床やエントランスホールの上り口などに、一段上がる場所に置く石。
汚垂石 ・ 汚垂れ (おだれいし ・ おだれ)
小便器の下に張る、汚垂れ用の石。
笠石 (かさいし)
壁などの上部にかぶせる平らな石。景観と上面部の保護を兼ねる。
桂石 (かつらいし)
土台石、地覆石、布石など地盤に据える石。
沓石 (くついし)
柱に束柱を受ける基盤に据える石。
沓脱石 (くつぬぎいし)
縁から庭へ降りる場所に、足がかりのために据えられる石。沓石、履脱石ともいう。
蹴上げ (けあげ)
階段などの前面垂直の部分。
蹴込み (けこみ)
階段、上がり框などの立ち上がり部分で蹴上げが引っ込んだ物。
腰石 (こしいし)
背の低い壁または立ち上がり部分の石。腰ともいう。
ササラ (ささら)
階段の段板を受けて、上部が段形になった登り桁。
敷石 (しきいし)
床に敷き詰めた石のこと。
礎石 (そせき)
建築で柱の下に置いた石。
力石 (ちからいし)
板石の裏面の接着した、荷重を支えるために石片。
束石 (つかいし)
束柱を地盤から支える石。通し柱、縁束、床柱など。
吊り石 (つりいし)
天井や壁など上部から、吊り金物を使って荷重を支えた石。
布石 (ぬのいし)
長く連ねて据えた石。土台下などに並べる石。
根石 (ねいし)
壁石などの最下段に据えられ、上部の石を支える石。
延べ石(のべいし)
一列に長く延ばして据える石。縁石ともいう。
延べ段 ・ 延べ壇 (のべだん)
園路の一種で敷石・飛石をすきまなく敷き詰めたもの。切石のみで作った延べ段を「真(しん)の―」、 切石と自然石を組合せて作ったものを「行(ぎょう)の―」、自然石のみで作ったものを「草(そう)の―」という。
巾木 ・ 幅木 (はばき)
壁などの床に接する部分に設ける横板。
羽目 (はめ)
壁石のこと。
ボーダー (ぼーだー)
縁取りの枠や縁をいい、同質の石または別材で細長に見切る。階段ボーダー等もある。
前垂石 ・ 前垂れ (まえだれいし ・ まえだれ)
洗面台、カウンターなどの前に下げて取り付ける板。
部位
合端 (あいば)
石と石の接合部で表面近くの部分。合口ともいう。
小面 (こづら)
小口のこと。
下端 (したば)
石の下面(したづら)。
段鼻 (だんばな)
階段の蹴上げと踏み面が出会う直角の部分。階段の鼻先。
天端 (てんば)
石の上面。
二番 (にばん)
石と石の接合部で奥の部分。
踏み面 (ふみづら)
階段などの足で踏む上面。
役物 (やくもの)
一般的な加工ものである真物(平物)に対して、隅石、出隅、切欠きなどの特殊な加工を必要とするもの。
石材の工法
圧着工法 (あっちゃくこうほう)
壁や床工事で用いられる工法。躯体にクシ目ゴテでモルタルを塗りつけ、その上に石を張り付ける。 接着力の信頼性に欠けるため、薄い規格品石材を張るときに用いられる。また、下地の動きを吸収できないので耐震性はない。
乾式金物 (かんしきかなもの)
乾式工法に使用する金物。アンカー、Lアングル、プレートなど。
乾式空積工法 (かんしきからづみこうほう)
内装の壁工事で用いられる工法。湿式工法と同じように石引き金物で石を固定し、金物の周辺だけを止水剤(急結モルタル)で固める。
乾式工法 (かんしきこうほう)
石材をファスナー(金物)で躯体に取りつける工法。石材と躯体の間が完全な空隙となるため、耐震性に優れ、躯体の挙動による割れ、 濡れ色、白樺現象の不具合を防止する効果がある。モルタルによる補強効果が無いため、石材自体の強度が必要になる。
湿式工法 (しっしき こうほう)
モルタルを使用する工法。床の場合、敷モルタル(バサモルタル)を30~50mm厚にならした上に、ノロ(セメントペースト)を撒き、 石材をゴムハンマーで叩きながら、敷きつめる。壁の場合、躯体に石引きアンカーを打ち、ステンレス線を絡ませ止水剤などで仮留めした後、 躯体と石材の間に裏込めモルタル(注ぎトロ)を充填する。全面にモルタルを充填する「全とろ」(総トロ)と水平目地部分だけ帯状に充填する 「帯とろ」がある。耐震性や濡れ色の問題がある。
接着工法 ・ ボンド工法 (せっちゃく こうほう ・ ぼんど こうほう)
内装の壁工事で用いられる工法。接着剤で石を貼り付ける。施工スピードは速いが接着力の信頼性に欠けるため、 薄い規格品石材を張るときに用いられる。また、下地の挙動による割れなどの問題がある。
迫持石工法 (せりもちいしこうほう)
アーチ型の石組工法。石の自重で互いに迫りあって、安定的でかつ優美なものアーチを形成する。
太柄 ・ ダボ (だぼ)
石材を連結するため、石の合端に掘った孔(ダボ穴)に入れる棒。ステンレス製で3.2φ~5.0φ程度が普通。
引き金物 (ひきかなもの)
壁石張りで躯体と石材を結束するための金物。通常ステンレス番線3.2φを使用。
石材の施工
網代張り (あじろばり)
インターロッキングなどにもよく行われる張り方。竹や樹皮を薄く剥いだものを縦横または斜めに編んだとき、現れる模様を網代模様という。
荒石積み (あらいしづみ)
荒石(石山から切り出し、小割りにしたままの石)で積んだ壁面または擁壁。割石積みともいう。
石割り (いしわり)
石を割る作業。矢穴を穿り、豆矢、利矢、飛矢などを差し込み、玄能で打ち、石を二つに割る。
鱗張り (うろこばり)
舗石(ピンコロ)張りの技法の一つ。方形の石材を敷石として据える場合に、互いに角を合わせて配置する形で、魚の鱗のように張ること。 浪形ともいう。うろこ敷きした石の間に、角と辺が向き合うように石を置く形をいろこ敷きという。
円形張り (えんけいばり)
輔石(ピンコロ)張りの技法の一つ。同心円状に張る。
籠目張り (かごめばり)
長方形と正方形に整形した石材を床張りする方法。竹などで編んだ籠目模様に似ていることから。
空積み (からづみ)
トロ(モルタルやコンクリート)で目地詰めをせずに石を積み上げること。城の石垣に多い。 高さ2mを超える石積みは練積みでないと認められない。
亀甲 (きっこう)
石積み、石貼りの際に亀の中模様につくること。亀甲積み、亀甲貼りという。石割りには基本寸法がある。
組積み (くみづみ)
石材を組み合わせて積むことの総称。切石積み、野面積み、割石積み、布積み、雑割石積み、間知石積みなどがある。
化粧積み (けしょうづみ)
装飾用の石積み。
間知石 (けんちいし)
積み石用の、四角錘の割石。セメントを用いずに構築される。「いんに」(控の長さ1尺2寸)、「いんさん」(1尺3寸)などと呼ぶ。
小口積み (こぐちづみ)
レンガ状の石を積み壁を作るときの積み方の1つ。縦目地は通さない。
小端積み (こばづみ)
平らな石の小口を見せる積み方。鉄平石、玄昌石、根府川石、挽き材なとを用いる。
雑割石 (ざつわりいし)
雑多に割った石、割り落とし石、半端な石など。
四半敷き ・ 四半張り (しはんじき ・ しはんばり)
碁盤目を45°斜めにした張り方。古来社寺などの建築に採用された。
墨出し (すみだし)
工場加工において、施工図に従い、色目や柄合わせをしてスラブに裁断の線を引く作業。
施工現場においては、石据えの場所に、地墨、立入れ、陸墨(ろくずみ)などを出して据付準備をすること。
玉石積み (たまいしづみ)
玉石を用いた石積み。通常矢羽根、矢筈に積む。
布積み (ぬのづみ)
整層積みの一つで、同じ高さの石を横目地を通して積む。「レンガ積み」とも呼ばれる。
野石積み(のいしづみ)
野石を積み上げること。自然石積みともいう。
野面積み (のづらづみ)
野石積みで、特に面を重視して自然石面のよいものを選んで積むこと。仕上がりを良くするためには140%以上の数量が必要。
方形張り (ほうけいばり)
定形の長方形に整形した石材を壁や床に張ること。馬目地や芋目地にする張り方がある。
方形乱積み (ほうけいらんづみ)
大きさの不ぞろいな四角い割石、荒石を、芋目地をさけて積むこと。
方形乱張り ・ 角乱張り (ほうけいらんばり ・ かくらんばり)
不定形の長方形に整形した石材を壁や床に張ること。
水糸 (みずいと)
水平に張り、石据えの基準とする。
水勾配 (みずこうばい)
水を流し切るためにとる勾配。外部の雨掛かりの床や水洗いを必要とする床に最小限の勾配をつける。
水盛り (みずもり)
基準となる水平(陸)を出すこと。水盛りする、水を見る、水を出すなどという。昔、水盛り(道具)を使って行っていたため。
遺形 (やりかた)
高さ、通りを決めるための仮設物。
乱積み(らんづみ)
石積みで、形の不定な切石をはめ込むように積むこと。野面積みや崩れ積みでできる形。
乱張り (らんばり)
不定形の乱形石材を壁や床に張ること。鉄平石、丹波石、挽き材、端材などが使用される。
割り付け (わりつけ)
設計作業において、石材の長さ、高さの目地割りなど決めていく作業。目地割りともいう。
施工現場において、石の配分、配置などを決める作業。
